変動金利で住宅ローンを借りているあなた、今月の返済額、ちゃんと確認した?
2026年4月、大手銀行の変動金利の最優遇金利が15年ぶりに軒並み1%を超えた。みずほ銀行が1.025%、三井住友信託銀行が1.08%、りそな銀行が0.95%。三菱UFJは3月に先行して引き上げ済みで0.945%。これだけ見ると「そんなに変わらないかな」と思うかもしれないが、借入額が数千万円規模になると、話が違ってくる。
僕の周りでも「なんか返済額が増えそうで怖い」と言っている人が何人かいた。怖いなら、まず数字を正確に把握した方がいい。漠然とした不安より、具体的な金額を知った方が対処しやすい。
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日銀の利上げ、ここまでの経緯をおさらいする
今回の金利上昇は突然ではなく、日銀の段階的な利上げの流れを受けたものだ。時系列で整理すると、こうなる。
2024年3月にマイナス金利が解除されてゼロ金利へ。2024年7月に0.25%へ引き上げ。2025年1月に0.5%(17年ぶりの水準)。そして2025年12月に0.75%へ引き上げ——これは1995年以来約30年ぶりの水準だ。2026年3月は0.75%で据え置きとなったが、各銀行は4月に変動金利を一斉に引き上げた。
変動金利は銀行が独自に決める「基準金利」から「優遇幅」を引いた形で決まる仕組みになっていて、日銀の政策金利が動くと基準金利も動く。今回は累積で0.75%の利上げが積み重なった結果が、4月の金利水準に反映されている。
2026年4月、各銀行の変動金利はいくらか
主要銀行の最優遇金利(新規借入の場合)を並べると、こうなる。
みずほ銀行:1.025%(+0.25%)。三井住友銀行:1.275%(3月から段階的に引き上げ)。三井住友信託銀行:1.08%(+0.35%)。りそな銀行:0.95%(+0.31%)。三菱UFJ銀行:0.945%(3月に+0.275%先行引き上げ)。
大手5行の最優遇金利平均が1%を超えるのは、15年ぶりのことだ。数字だけ見ると「まだ低い」と感じる人もいるかもしれないが、これは日本が長年ゼロ金利・マイナス金利の環境にいたからで、世界的に見れば依然として低水準ではある。
……ただ、「世界的に低い」という話は手元の家計には関係ない。問題は自分のローンがいくら増えるかだ。
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いつから返済額が増える? すぐには変わらない
ここは多くの人が誤解しているポイントだ。4月に金利が変わっても、返済額がすぐ増えるわけではない。
ほとんどの銀行は、金利変更の基準日を年2回(4月1日と10月1日)に設定している。そして実際の返済額への反映は、基準日から2〜3ヶ月後になる。つまり、2026年4月の金利引き上げが返済額に反映されるのは、多くの銀行で2026年7月の返済分からということになる。
「5年ルール」が適用されている場合はさらに複雑
一部の銀行は「5年ルール」を設けていて、5年間は月々の返済額が変わらない仕組みにしている。ただしこれは「元本と利息の内訳」が変わるだけで、返済額が変わらない代わりに元本の減り方が遅くなる。ローンを組んだ銀行のルールを確認しておくといい。
実際いくら増えるのか:借入額別シミュレーション
今回の引き上げ幅を+0.25%として、借入額別の月々の返済増加額を試算すると以下のようになる。
3,000万円借入・35年返済:月約3,300〜4,000円増(総返済額で約100〜170万円増)
4,000万円借入・25年残存:月約4,500円増(総返済額で約134.7万円増)
5,000万円借入・35年返済:月約6,000円増
ひとつの利上げで「月6,000円増」なら年間7.2万円。生活費として決して小さくない。しかも今回だけではなく、今後さらに利上げが続く可能性がある。
日銀系のシンクタンク等の予測では、2026年末までに政策金利が1.0%まで上昇する可能性が指摘されている。変動金利がさらに0.25%上がる可能性を加味すると、4500万円借入のケースで借り入れ当初比の月額増加が1万4,000円に達するという試算もある。
固定金利に切り替えるべきか問題
「もう固定に変えた方がいいのでは」という声をよく聞くが、これは単純ではない。
2026年4月時点の固定金利(10年固定)は、三菱UFJで2.97%、三井住友で3.15%、フラット35(21〜35年)で2.49%と、変動の1%前後に比べてかなり高い。3,500万円・35年のローンで変動と固定を比較すると、月々の返済額で約2.5万円の差があり、総返済額にすると約1,000万円の差になる。
この差が「金利がさらに上がるリスクを避けるための保険料として払えるか」が判断の分かれ目だ。変動が3%を超えるような水準まで上昇する局面が来れば固定有利になるが、その確率をどう見るかは人によって違う。
少なくとも言えるのは、「何も考えずに変動のまま」でいるより、今の自分のローン残高と金利水準を一度ちゃんと確認して、シミュレーションしておく方がいいということだ。
変動金利を使い続けている人の割合はまだ約8割
国土交通省の調査によると、住宅ローン利用者のうち変動金利型を選んでいる割合は依然として約80%前後だ。利上げが続いているにもかかわらず、固定への切り替えが急速に進んでいるわけではない。
これにはいくつか理由がある。一つは「切り替えコスト(手数料・登記費用など)を回収できるか」という問題。もう一つは「固定金利自体も上昇しているので、今の固定は割高」という判断だ。固定に切り替えれば「安心」が得られる代わりに、月々の支払いは今よりかなり増える。
変動金利が今後さらに上昇するかどうかは、日銀の判断次第だ。専門家の間では2026年末までに政策金利が1.0%に達するという予測が多いが、米国経済の動向や円安・物価状況によっては据え置きが続く可能性もある。正直なところ、誰にも確定的なことは言えない状況だ。
金利が上昇し続けた場合のシミュレーション
最悪シナリオとして、変動金利が10年後に2.3%〜3.8%まで上昇すると試算した専門機関のデータもある(ダイヤモンド不動産研究所)。その水準になると、固定に早めに切り替えた方が総コストが低かった、という結果になりうる。ただしこれはあくまで「そういう水準に達した場合」の話であって、現時点で確定しているわけではない。
一方で日本はまだ賃金上昇が十分ではなく、急激な利上げを続けにくい構造的な事情もある。0.5〜1%程度の水準で落ち着く、というシナリオも十分あり得る。
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九州で家を買って3年、うちのローン事情
正直に書くと、うちも変動金利でローンを組んでいる。3年前に九州で家を購入した時は、まだゼロ金利の時代だった。「これがいつまでも続くわけないけど、まあしばらく大丈夫だろう」と楽観的に構えていた部分はある。
日銀がマイナス金利を解除した2024年3月のニュースを見た時は「来たか」と思ったが、それでも「まだ低いし」と特に動かなかった。2025年末に0.75%まで上がって、さすがに返済シミュレーションをやり直した。
計算してみたら、今後の利上げ込みで月々の返済が7,000円前後増える可能性があるとわかった。7,000円というのは、年間8.4万円だ。「まあそれくらいなら」と思う人もいれば「それは困る」という人もいるだろう。うちは繰り上げ返済を少し早めることにした。
今できることを3つだけ整理する
難しく考えすぎず、今すぐできることを3つ挙げるとすれば、こうなる。
①返済シミュレーションを今すぐやる。金利が1%・1.5%・2%まで上がったらどうなるかを、借りている銀行のサイトか住宅ローン計算ツールで確認する。知らないまま不安でいるより、数字を見た方が次の判断がしやすい。
②余裕資金があれば繰り上げ返済を検討する。金利が上昇局面の今は、繰り上げ返済(特に期間短縮型)の効果が以前より高くなっている。ただし手元資金を使い切るのは危険なので、生活費6ヶ月分は残しておくのが基本だ。
③銀行に借り換えの相談をする。同じ変動金利でも、銀行によって最優遇金利は0.945%〜1.275%と幅がある。ローン残高が多く残っている場合は、借り換えによるコスト削減効果が期待できることもある。
変動金利時代の終わりが来るかどうかはわからない。ただ、これまでの「金利ゼロ前提の家計設計」は見直す時期に来ていると思う。


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