昨日まで快晴だったのに、今朝ベランダに出たら空が暗かった。
天気予報アプリを開いたら「強雨・強風」のマーク。桜、大丈夫かな——そう思って近所を歩いてみたら、うちの近くのソメイヨシノはまだ頑張って咲いていた。花びらが数枚、風に流されていた。あ、始まってるな、と思った。
気象庁の発表によると、東京の桜は3月28日(土)に満開を迎えた。平年より5日早い満開だ。3月19日に開花が確認されてから、わずか9日での満開は近年でも速いペースらしい。そして今日3月31日、西日本を中心に「花散らしの雨」になる可能性があるという。つまり今日・明日が見頃のラストチャンスになるかもしれない。
「花散らしの雨」って実際どのくらい散るのか
花散らしの雨、という言葉は聞いたことがある人も多いと思う。でも実際に何日くらいで散るものなのか、ちゃんと調べたことがなかった。
桜の見頃は満開から約1週間が目安とされているけど、雨と風が重なると一気に散ってしまうことがある。特に今日みたいに強風を伴う雨の場合は、満開から2〜3日で葉桜になることもあるらしい。逆に穏やかな霧雨程度なら、むしろ「雨の桜」として幻想的な景色が楽しめる。
今日の予報は「強雨・強風」。残念ながら一気に散る方のパターンになりそうだ。
だとすると、明日以降は葉桜の可能性が高い。今日の午前中、雨が強くなる前に見に行けた人は運がよかったかもしれない。
去年、九州の桜を見逃したときのことを思い出した。「明日でいいか」と思っていたら、翌朝強風で8割散っていた。あの悔しさは今でも覚えている。桜ってほんとうに待ってくれないんだよな。
東京の桜スポット——今日まだ見られる場所
今日午前中に限っていえば、まだ満開の状態が続いているスポットがある。午後から雨が強まりそうなので、行くなら今すぐか明日以降に葉桜を受け入れるかの二択だ。
千鳥ヶ淵緑道(千代田区)
皇居のすぐ北に位置する千鳥ヶ淵緑道は、700メートルにわたる桜のトンネルが楽しめる東京を代表する名所だ。お濠の水面に映る桜の景色は本当に美しく、僕も4年前に初めて東京へ来たときここを歩いて、「日本に来てよかった」とマジで思った。
今年は夜桜ライトアップが3月下旬から4月上旬まで実施されているので、今日の夜、雨が少し弱まった隙間に行くのもアリかもしれない。ただし風が強い場合はかなり散っている可能性があるので注意を。
靖国神社(千代田区)——今日が夜桜ライトアップ最終日
ここは特に今日が重要だ。靖国神社の「夜桜詣」ライトアップは3月26日(木)〜3月31日(火)18〜20時という日程なので、今日が最終日になる。約500本のソメイヨシノが幻想的にライトアップされる光景は、昼間とはまた違う雰囲気がある。
雨の夜桜も、それはそれで趣があるとよく言う。傘をさしながら見る夜桜というのも、一度経験してみる価値はあると思う。
目黒川(中目黒)
中目黒の目黒川沿いは、桜の季節になると川の両側から桜が覆いかぶさるようにして咲く、東京でも屈指の花見スポットだ。「中目黒桜まつり」では音楽やアートのイベントも開催されている。ぼんぼりの点灯は17〜20時、桜開花から15日間続くので今日もまだやっているはず。
雨の中でも傘をさして歩く人が多い場所で、ある意味「雨の中でも行く価値がある」と言われるスポットのひとつだ。
Photo by Syadza Salsabyla on Unsplash
上野恩賜公園(台東区)
800本のソメイヨシノで有名な上野公園。中央通り沿いの桜並木は今が見頃のはずで、雨が強くなる前の朝のうちに訪れた人はラッキーだったと思う。上野は夜も提灯がつるされていて、雨の中でも雰囲気は抜群だ。ただ屋台が雨でどこまで出ているかは行ってみないとわからない。
隅田公園(台東区・墨田区)
墨田区側と台東区側の両岸合わせて1,000本もの桜が咲く隅田公園。浅草から徒歩圏内なので、浅草観光と組み合わせて花見というのが個人的にはおすすめの楽しみ方だ。今年の桜まつり期間中は夜間ライトアップも実施されている。
九州(福岡・熊本・大分)の桜はいま?
九州在住の僕からすると、東京の桜の話ばかりしてもなんなので、九州の状況も少し触れておく。
福岡の桜は例年3月下旬〜4月上旬が見頃で、今年は東京同様に早い開花が報告されている。福岡城跡・西公園・舞鶴公園あたりは人気スポットで、今年もかなりの人出が予想される。熊本城周辺もソメイヨシノが有名で、今年は3月27日頃が満開だったという情報が出ていた。大分の鶴崎やお城公園の桜も今週がちょうど見頃のピークにあたりそうだ。
九州は東京と違って今日の雨の影響が大きくて、西日本全体で「花散らしの雨」になる可能性があると予報が出ている。今日が見納めになるかもしれない、という意味では東京も九州も同じ状況だ。
雨でも楽しむ花見の工夫
雨の花見って、最初は「無理じゃん」と思うけど、実際にやってみるとこれはこれで悪くない。
人が少ない——これが一番のメリットだと思う。晴れた満開の週末に桜スポットへ行くと、歩けないくらい混んでいることが多い。千鳥ヶ淵なんかは晴れた週末だと入場待ちが1時間になることもあるらしいが、雨の日はスムーズに歩けるらしい。混雑が苦手な人にとっては、雨の方がむしろ快適だったりする。
それと、雨で濡れた桜の花びらというのが、実は写真映えする。乾いた花びらよりも、濡れてしっとりしたピンクの色の方が、スマホのカメラで撮ると発色がよかったりする。水たまりに映る桜の反射も幻想的な絵になる。雨の日の桜写真を専門に撮るカメラマンがいるくらいで、「雨桜」「濡れ桜」という言葉で検索すると本当に美しい写真がたくさん出てくる。
一方で注意点もある。地面がぬかるむので靴底がしっかりしたものを選んだ方がいい。風が強い日は傘が花びらだらけになる。レインコートの方が傘より両手が使えて写真を撮りやすいという意見もある。
雨の花見に持っていくといいもの
折りたたみ傘よりも長傘の方が風に強い。防水スプレーをかけたスニーカーか、ショートブーツがベスト。スマホは防水ケースに入れておくと安心だ。ビニール袋を1〜2枚持っておくと、濡れた傘や靴をしまうときに便利だ。あと意外と大事なのがホットコーヒーやお茶。雨の中で温かいものを飲みながら桜を見るのは、晴れの日とはまた違う趣がある。
「今年も見られた」という満足感
日本に来て10年以上経った今も、桜の季節になると少しそわそわする自分がいる。「今年も見られるかな」という気持ちが毎年やってくる。
桜って、人を急かすよな、といつも思う。梅雨が来ても、夏が来ても、秋が来ても「また来年」が約束されているけど、桜だけはその年その年が一発勝負な感じがある。だから毎年、ちゃんと見ておかないともったいない気持ちになる。
今日の雨で散ってしまっても、今年の桜はちゃんと咲いた。3月28日に満開になった東京の桜は、この数日間、本当にきれいだったと思う。九州でも、各地で満開の桜を楽しんだ人が大勢いたはずだ。
来週には葉桜になって、ゴールデンウィークには緑の葉っぱが茂る。そういうサイクルが毎年繰り返される日本の春というのが、何年経っても好きだなと思う。
今日雨で見に行けなかった人も、去年見逃した人も、来年また一緒にそわそわしましょう。
葉桜もそれはそれで好きな理由
葉桜の話をしておきたい。
桜が散ると「もう終わった」という空気になりがちだけど、葉桜ってそれはそれで好きなんだよな。薄いピンクから若草色に変わっていく桜の木の変化というのが、なんか生命力を感じる。散った後の花びらが地面に積もってピンクの絨毯みたいになっている光景も、花見と同じくらい日本の春らしいと思う。葉桜の緑と散り残った桜のピンクが混じるグラデーションも、実はこの時期にしか見られない特別な景色だ。
花びらが川に浮かんで流れていく様子を「花筏(はないかだ)」というらしいと、去年日本人の友人に教えてもらった。目黒川で花が散り始めたころに見た花筏は、満開の桜を見るのとはまた別の感動があった。今日の雨と風で、各地の川で花筏が見られているかもしれない。
桜は1週間しか咲かないから特別なんだ、とよく言う。その短さが「今年も見られてよかった」という気持ちを生むんだと思う。散るから美しい、という感覚は日本に来て初めてわかった気がする。今年の桜、ちゃんと見られましたか。来年もまた、この時期に一緒にそわそわしましょう。


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