昨日の朝8時ごろ、北海道で自転車に乗っていた人が信号無視をして、6,000円の反則金を告げられた。
青切符。4月1日から始まった、自転車版の交通反則通告制度のことだ。前の日まで「そういう話があるらしい」くらいの認識でいた人も、昨日のニュースでようやく「あ、本当に始まったんだ」となったんじゃないかと思う。
僕もそうだった。3月の終わりに「4月から自転車も青切符が始まるよ」という記事を読んでいたのに、昨日の朝のニュースで「施行初日、各地で取り締まり」という映像を見るまで、どこか他人事だった気がする。
ということで、何が変わって、初日に何が起きたのか、整理しておく。
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青切符って何?自転車に関係があるのかを確認する
青切符というのは「交通反則通告制度」の通称だ。違反した人に反則金を払ってもらうことで、刑事手続きを経ずに事件を処理する仕組みで、これまでは車やバイクに適用されていた。自転車は対象外だった。
それが今回、自転車にも適用された。16歳以上が対象で、113種類の違反が対象になっている。反則金を期日内に払えば、家庭裁判所の審判や刑事手続きを受けなくて済む。払わなければ刑事手続きに移行する。
これまで自転車の違反は「警告・指導」がほとんどで、実際の罰則に繋がることは稀だった。形骸化していた交通ルールの実効性を上げるための制度変更、というのが趣旨だ。
113種類、というのは思ったより多い。実際に読んでいくと、「え、これも?」と思う違反がいくつかある。
いくら取られるのか:違反別の反則金を確認する
気になるのはやはり金額だと思う。対象となる113種類の違反は、反則金3,000円からスタートして、最高は12,000円になる。
スマホながら運転は12,000円(警告なし・即交付)
スマートフォンを見ながらの運転は、最も重い区分になる。反則金は12,000円。しかも「警告なし即青切符」の対象とされているので、一発で来る。「知らなかった」は通用しない形だ。
イヤホンをつけて音楽を聴きながら走っているのも違反対象だ。反則金5,000円の範囲に入る。今まで普通にやっていた人は、かなりいると思う。
信号無視は6,000円、一時不停止は5,000円
信号無視は6,000円。一時不停止(止まれの標識で実際に止まらない)は5,000円になる。施行初日の北海道でさっそく青切符が交付されたのは信号無視のケースで、反則金6,000円が告げられた。
自転車の信号無視って、正直かなり日常的に行われていたと思う。自動車では絶対やらないのに、自転車だとつい、という人が多い。意識を変えないといけない。
傘さし・無灯火・2人乗りは5,000円
傘さし運転が5,000円。夜間の無灯火も5,000円。2人乗り、並走も対象になっている。雨の日に傘をさしながら自転車に乗っている人はどこでも見かけるが、悪質と判断された場合は切符の対象になる。大阪の施行初日には、傘さし違反が多すぎて警察が対応しきれない状況になっていたというレポートもあった。
……いや、傘さし5,000円か。それは知らなかった人が多そうだ。
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施行初日、全国で何が起きたか
4月1日の朝から、各地の警察が一斉に取り締まりを開始した。現場の様子をまとめると、こういう感じだ。
東京・王子駅前:25人投入、16人に警告、実際の青切符はゼロ
警視庁は東京都北区の王子駅前に警察官25人を配置して取り締まりを実施した。一時不停止が10人、信号無視が6人の計16人が「指導警告カード(緑色)」を手渡された。ただし実際に青切符が交付された人はいなかった。
警視庁の担当者は「青切符ではなく指導警告が基本。事故のリスクに応じて現場で判断している」と説明したそうだ。
つまり初日は「まず知らせる・周知する」フェーズで、実際の交付はしばらく段階的に増えていく運用になっていくということだろう。
北海道:施行初日から実際に青切符が出た
一方、北海道では施行初日に実際に青切符が交付された。信号のない交差点で、車用の信号機を見て止まらずに左折したケースで、信号無視として反則金6,000円が言い渡されたという。当事者は「信号が自分に関係ないと思っていた」と困惑した様子だったという。
「車用の信号機だから関係ない」という認識は、自転車あるあるな誤解だと思う。実際には自転車は車道通行が原則なので、車と同じ信号に従う必要がある。
大阪・布施駅前:雨でカオスな施行初日
大阪の布施駅前では雨が降っていたため傘さし運転が多発した。違反者の近くをさらに別の違反者が通り過ぎる状況になって、警察が対応しきれない場面もあったという。
傘さし運転は今まで「まあ仕方ないか」くらいの感覚でやっていた人も多い。とくに急いでいる時は自転車に乗りながら傘を持つのが当たり前になっていた。制度と日常の感覚のギャップが一番大きいのがこのあたりかもしれない。
取り締まりを受けた人の反応
現場での声がいくつか報道されていた。
一時停止違反で警告された高校2年の男子生徒は「止まらないといけないと知らなかったので困惑した。親と相談して自転車の使い方を確認したい」と話していた。
信号無視で警告を受けた46歳の女性は「これからは自転車を降りて歩いたり、信号を待ったりする時間のために、早く出発しないといけない」と語った。
マジか。「早く出発しないといけない」という発想が出てくるのが、いかにも現実的だと思った。ルールを守るために、生活習慣の方を変える。それが実際の対応になる。理屈としてはそうするしかないわけで、正しい判断だと思う。
逆に言えば、これほど自転車の違反が日常的に行われていたということだ。歩行者からすれば歓迎の制度変更なのかもしれない。僕の近所でも、ものすごいスピードで歩道を走ってくる自転車には何度もヒヤッとしてきた。
なぜ今この制度が始まったのか
背景の数字を一つ挙げると、2024年中に発生した自転車乗用中の死亡・重傷事故のうち、約4分の3に自転車側の法令違反があったという。つまり多くの自転車事故が、ルールを守っていない自転車によって引き起こされていた。
それに加えて、従来の仕組みでは自転車の交通違反で検挙されても不起訴になるケースが多く、「違反しても実質何もない」という状況が続いていた。軽微な違反に対して刑事手続きを踏むのは過剰という問題もあって、間の選択肢として反則金という制度が導入された、という流れだ。
制度の方向性自体は理解できる。ただ、「知らなかった」という人が施行初日から続出している現状を見ると、周知がどれくらいできていたかは疑問だ。警告フェーズを設けているのはそういう事情も考慮されているのかもしれない。
九州の地方都市で自転車に乗る僕が気をつけること
正直に言うと、九州の地方都市に住んでいるので自転車で移動することがある。子どもの学校への送りにたまに使うし、近所の買い物に使うこともある。
気をつけているつもりだったけど、改めて考えてみたら怪しい場面がいくつかあった。音楽を聴きながら走ったことが何度かある。イヤホンで。これは違反対象だったらしい。5,000円。知らなかった。
あと夜に無灯火で走ったこともある。充電を忘れていてライトが切れていたことがあって、「近所だし、ちょっとだけだから」と思ってそのまま走った。これも5,000円の対象だ。
今後気をつけるとすると:スマホを見ながら走らない(そもそも当たり前)、イヤホンはしない、ライトの充電を切らさない、一時停止は本当に止まる、の4点。
特に一時停止は、正直ちゃんとやっていなかった気がする。車の運転をしている時は意識するのに、自転車だと緩くなる。そのズレを今回直す良いタイミングだと思っている。
これからどうなるか:段階的に厳しくなる可能性
施行初日の様子を見る限り、すぐに全員に青切符が飛んでくる状況ではなさそうだ。まず警告・指導が中心で、悪質なケースや繰り返しの違反、スマホ使用などは即交付、という運用が続くと思われる。
ただ、制度として存在する以上、「知らなかった」は通らない。特にスマホながら運転の12,000円は一発で来る可能性がある。財布へのダメージが一番大きい違反だ。
4月2日の今日から、自転車に乗る人は少し意識を変えた方がいい。大げさに心配することはないが、今まで緩く運転してきた部分を締め直す機会として捉えると、あとで「知らなかった」で痛い目を見ることは避けられると思う。
一つ知っておいた方がいいのは、繰り返し違反した場合のペナルティだ。3年以内に2回以上、危険な違反をした場合(16種類の指定違反)は「自転車運転者講習」の受講が義務付けられる。この講習を拒否すると最大5万円の罰金になる。一回の青切符で終わらず、繰り返すと別のステージに進む、ということは覚えておきたい。


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