「誰でも通園」4月から全国スタート。月10時間、働いてなくても預けられる制度を整理した

日本情報

「仕事してなくても保育園に預けられるって本当?」と友人のLINEが来たのが先週のことだった。

本当だった。しかも今月(4月)から全国で正式に始まっている制度だ。「こども誰でも通園制度」という名前で、就労要件なし・月10時間まで・1時間あたり上限300円という内容だ。

正直、この制度の存在を知らなかった人の方が多いと思う。僕も友人に聞かれるまでちゃんと調べていなかった。でも調べてみると「なんで今まで使えなかったんだろう」と思うような内容で、子育て中の家庭には知っておく価値がある話だった。

A large room with a checkered floor and lots of windows

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結論から:「誰でも通園」でできること、できないこと

最初に結論を整理しておく。

できること:0歳6か月から満3歳未満の子どもを、就労の有無に関係なく月10時間まで保育施設に通わせること。専業主婦でも、育休中でも、フリーランスでも使える。

できないこと:月10時間を超える利用。通常の認可保育所への「入所」とは別の制度なので、保育認定を受けたうえでの通常保育とは別枠で考える必要がある。あくまで「短時間の通園」が対象だ。

費用は1時間あたり上限300円。給食などの実費は別途かかる場合がある。東京都内など自治体が補助を上乗せしているエリアでは実質無料になるケースもある。

この制度が生まれた背景:「育児の孤立」への対応

日本では長い間、保育所は「働く親が子どもを預ける場所」という位置づけだった。就労証明書がなければ認可保育所には入れず、専業主婦や育休中の親は「自分で育てるのが当然」という空気があった。

でも実態として、特に0〜2歳の乳児を抱えた親の孤立は深刻だ。一人で育てる時間の長さ、外出もままならない日々、「誰とも話せない」という状況が産後うつや虐待リスクにつながるケースが繰り返し指摘されてきた。

「誰でも通園」はそこへの対応として設計された制度で、子どもの社会性を育てること、親の休息や自由時間を確保すること、の両方を目的にしている。「育児を頑張っている親を休ませる」という発想が制度の根っこにある。

少し個人的な話をすると、自分の周りでも1〜2歳の子を一人で育てている友人が「しんどい」と言っていた。公園に行っても知り合いがいない、支援センターは敷居が高い、という話を聞いて、社会との接点を作るのがこの時期の育児でいちばん難しいことなのかもしれないと感じた。週に数時間でも「施設に預けて自分の時間を持てる」というのは、体の休息以上に精神的な意味が大きいと思う。

対象年齢と時間の詳細

対象は0歳6か月から満3歳未満の未就園児だ。「未就園」という条件がポイントで、すでに認可保育所や幼稚園に通っている子どもは対象外になる。

月10時間という上限は、子ども1人あたりの数字だ。1回あたりの利用時間に制限はないが、月の合計が10時間を超えてはいけない。週に2〜3時間を数回に分けて使うイメージだ。

申し込みはこども家庭庁が運営するポータルサイト(daretsu.cfa.go.jp)から、または市区町村の窓口から行う。施設ごとに空き状況が違うため、希望の施設に直接連絡して確認するのが現実的なステップになる。

a woman holding a baby

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「試行実施」との違い:今年から何が変わったのか

実はこの制度、2024年から一部の自治体・施設で試行的に実施されていた。試行段階では「参加したい施設が手を挙げる」形で、全国801施設が参加していた。

2026年4月からの本格実施で何が変わったかというと、「子ども・子育て支援法に基づく新たな給付」として法的に位置づけられ、全国義務化された点だ。つまり自治体が「やりたければやる」ではなく、「対応しなければならない」制度になった。

ただし「義務化されたから全国どこでも使える」と思うと少し待ってほしい。受け入れ施設の整備は自治体ごとに進み具合が違い、地方では対応施設がまだ少ない地域もある。「制度としては全国」でも「実際に使える施設があるか」は確認が必要だ。

「一時預かり」「認可保育所」とどう違うのか

似たような制度として「一時預かり」がある。違いはいくつかある。

一時預かりは就労に関係なく使えるという点は同じだが、費用が1時間700〜1,000円程度と高めな施設が多い。「誰でも通園」は上限300円/時間なので、費用面では誰でも通園の方が安い。

認可保育所の通常入所は、就労や介護などの「保育の必要性」が認定された場合に限られる。月10時間どころか、毎日8時間前後の保育が受けられる。ただし入所競争があり、特に都市部では入れない場合も多い。

「誰でも通園」は一時預かりより安く、認可保育所ほど長くは預けられない、という位置づけになる。「週に数時間、自分の時間がほしい」「子どもに同年代の子と遊ぶ機会を作りたい」という使い方が想定されている。

既に認可保育所に通っている場合は?

すでに認可保育所などに通っている場合は「未就園児」ではないため、この制度の対象外だ。育休中に認可保育所に通わせているケースも対象外になる。「保育施設に一切通っていない子ども」が対象というのを押さえておこう。

保育士不足という現実の課題

制度としては意義があると思うが、現場には正直な課題もある。

誰でも通園に対応するには保育士の配置が必要だが、今の日本は保育士が慢性的に不足している。短時間で子どもが入れ替わる形の保育は、子ども一人ひとりへの対応が通常保育より複雑になる場面もある。

地方の小規模施設では、誰でも通園に対応すると人件費の面でトータル赤字になるケースもあるという報告が出ている。制度がスタートしても、施設側が受け入れに積極的になれない背景がここにある。

利用する側としては「制度があるから必ず使える」ではなく、「近くに対応施設があるかどうかを早めに確認する」のが現実的な動き方だ。

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実際に使ってみた人の声

試行実施の段階から参加していた自治体での声を見ると、親からのポジティブな反応が目立つ。「初めて子どもと離れて2時間だけ自分の時間を持てた」「子どもが他の子と遊ぶ様子を見て安心した」「ずっと二人きりだったのがリフレッシュになった」といった内容だ。

子ども側の反応として、「家以外の環境に慣れる練習になった」「他の子と遊んで刺激を受けた」という声もある。0〜2歳の時期に同年代の子と接する機会は、家庭保育だけでは作りにくい。

一方で「10時間じゃ足りない」という声も当然ある。育児の孤立解消という意味では10時間は少ないが、「全くゼロよりは意味がある」という評価が多い。

誰でも通園と「認可保育所の入所」は別物として考える

混同されやすいのが、誰でも通園を使いながら認可保育所の入所も目指せるのか、という点だ。答えはイエスだ。この制度は通常の保育認定とは別枠で動いているので、誰でも通園を使いながら同時に認可保育所の入所申請をすることができる。

保活(保育所を確保するための活動)をしている最中の親が、入所待ちの間に誰でも通園を使うという活用方法が現実的だと思う。認可保育所に入れるまでの「つなぎ」として使いながら、子どもが施設環境に慣れるという副次的な効果も期待できる。

もう一点、3歳になる前に誰でも通園を使い始めた子どもが3歳を迎えた場合、その後は幼稚園や認定こども園への移行が一般的な流れになる。誰でも通園は「3歳の壁」と言われる幼保の切れ目を埋める制度としての意味もある。

今すぐ確認すること:3つのステップ

この制度を使ってみたいと思ったら、今すぐできることが3つある。

1つ目は、子どもの年齢確認。0歳6か月以上・満3歳未満であり、かつ現在どの保育施設にも通っていないことを確認する。

2つ目は、こども家庭庁のポータルサイト(daretsu.cfa.go.jp)で近くの対応施設を探すか、市区町村の子育て担当窓口に問い合わせる。

3つ目は、施設に直接連絡して空き状況・利用費用・手続き方法を確認する。施設によって対応時間や手続き書類が異なるため、直接聞くのが一番確実だ。

制度の知名度はまだ高くない。でも使える状況にある家庭にとっては、月10時間でも「一息つける」意味は大きいはずだ。友人への返信で「本当だった、調べてみて」と送りながら、自分ももう少し詳しく調べておけばよかったと思っている。

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