恥ずかしい話なんだけど、先月やらかした。
副業でライティングの仕事を始めたのが去年の春。最初は月3〜4万円程度で、「年間20万円以下なら申告しなくていい」という話をどこかで聞いていた。だからまあいいかと思って、1年間ほぼ何もしなかった。
それが間違いだったと気づいたのは、2026年3月の確定申告シーズン直前。税務署の近くを通ったときに、なんとなく不安になって調べてみたら──「20万円以下でも住民税の申告が別途必要」という記述が出てきた。
え。知らなかった。
焦って市役所に電話したら、担当者に「住民税は市区町村への申告が必要です」とさらっと言われて、頭が真っ白になった。所得税の申告と住民税の申告は、別の話だったのだ。
同じ勘違いをしている人、結構いると思う。副業の税金は「20万円」という数字だけが一人歩きしていて、肝心の部分が伝わっていない。この記事では、僕が実際に調べてわかったことを、できるだけ正確に整理してみた。
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副業の税金はいくらから?2026年版20万円ルールを正しく理解する
まず、よく知られている「20万円ルール」について確認しておく。
給与所得者(会社員・パート・アルバイトなど)が副業から得た所得が年間20万円を超えた場合、所得税の確定申告が必要になる。これは所得税法のルールで、「年末調整で完結している給与所得以外の所得が20万円以下なら申告不要」というものだ。
ただし、これはあくまで「所得税の確定申告が不要」という話。所得(=収入マイナス経費)が20万円を超えなければ、確定申告の手間が省けるというだけだ。
「所得」と「収入」の違いに注意
ここで勘違いしやすいのが、「収入」と「所得」の区別だ。
収入:実際に受け取った金額(売上、報酬など)
所得:収入から経費を差し引いた金額
たとえば副業で年間25万円稼いでも、交通費・通信費・道具代などの経費が8万円あれば、所得は17万円。この場合、所得税の確定申告は不要になる。
逆に言えば、経費ゼロで年収18万円の副業でも、所得が18万円だから申告不要、という計算になる。「副業収入が20万円を超えたかどうか」ではなく、「経費を引いた後の所得が20万円を超えたかどうか」で判断する。
2026年の変更点として、所得税・住民税の基礎控除が引き上げられた。いわゆる「103万円の壁」が「123万円の壁」へと変更されたことは、副業の計算にも関わってくる。基礎控除が増えた分、課税所得が下がるため、副業を持つ人にとっては若干の恩恵がある。ただし影響が出るのは所得税の計算の話であり、住民税の申告義務には別途注意が必要だ。
20万円以下なら申告しなくていい?住民税という落とし穴
ここが最大のポイントで、僕がやらかした部分だ。
所得税の確定申告が不要(副業所得20万円以下)な場合でも、住民税については市区町村への申告が別途必要になる。
そうなのか。
住民税の申告義務は、所得税法とは別の地方税法に基づいている。住民税は「お住まいの市区町村に納める税金」で、国(税務署)への申告とは管轄が違う。だから「確定申告した=住民税も済んだ」とはならない。正確には、確定申告をすればその情報が市区町村にも自動的に送られるので二度手間にはならないが、「所得税の申告が不要だから何もしなくていい」は間違いだ。
住民税の申告は、毎年3月15日ごろまでに市区町村の窓口(または郵送・オンライン)で行う。必要書類は収入・経費の記録、源泉徴収票など。市区町村によっては「住民税申告書」という専用の書類を使う。
申告せずに放置していると、市区町村が独自に調査して課税する場合がある。そうなると延滞税(年9.18%)が発生することもあるから、面倒でも申告しておいた方が絶対いい。
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副業が住民税で会社にバレる仕組みと、バレないための対策
副業を始めた人が最も気にするのが「会社にバレるかどうか」だと思う。
結論から言うと、何も対策しないと住民税経由でバレる可能性がある。
バレる仕組みをシンプルに説明する
会社員の住民税は通常、「特別徴収」といって会社が毎月の給与から天引きして代わりに納付する形を取っている。毎年6月ごろに市区町村から会社に「特別徴収税額通知書」が送られてきて、そこに各社員の住民税額が書かれている。
副業収入がある場合、その分の住民税も含めて通知が来る。会社の経理担当者が「あれ、この人の住民税、去年より多いな」と気づくと、副業があることが推測される。明示的に「副業してますよ」という情報は書かれていないが、金額の増加から察知されることがある。
これが、住民税経由でバレるパターンだ。
バレない対策:「自分で納付」を選択する
対策は、確定申告書(または住民税申告書)の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄で、「自分で納付(普通徴収)」を選ぶことだ。
これをチェックすると、副業分の住民税は会社経由の天引きではなく、個人宛に送られてくる納付書を使って自分で納付する形になる。結果として、会社には「給与分の住民税」しか通知が届かないため、副業分の収入が増えたことが会社に知られにくくなる。
ただしこれは「バレにくくなる」であって「絶対バレない」ではない。会社が副業を禁止している場合や、SNSなどで副業の存在を知られている場合は別の経路でバレることもある。税金の手続きだけを完璧にしても、他の部分で油断するのは危ない。
…いや、これはちょっと当たり前すぎる話か。でも意外と知らない人が多いから書いておく。
副業の確定申告のやり方──雑所得と事業所得の違いを理解する
副業を確定申告するとき、その収入をどの「所得区分」に入れるかが重要になる。
多くの副業は「雑所得」に分類される。ライター報酬、デザイン料、ハンドメイド販売、ポイ活、アフィリエイトなど。雑所得は計算がシンプルで、収入から経費を引くだけ。青色申告の特典はないが、手続きは比較的楽だ。
事業所得になる条件と、そのメリット
一方、副業が「事業的規模」と認められれば「事業所得」として申告できる。事業所得のメリットは大きい。
まず、青色申告特別控除が使える。最大65万円の控除が受けられるため、課税所得が大幅に下がる。次に、赤字を給与所得と損益通算できる。副業が赤字になった年は、給与所得から赤字分を差し引いて全体の税額を減らせる。
「事業的規模」の判断基準は難しいが、一般的には「継続性・反復性がある」「利益を得る意図がある」「それなりの時間・労力をかけている」などが考慮される。2022年の国税庁通達以降、副業の雑所得・事業所得の区分はより厳格になっており、収入が300万円以下で帳簿書類がない場合は原則として雑所得扱いとなった。
逆に言えば、しっかり帳簿をつけてビジネスとして取り組んでいる実態があれば、事業所得として認めてもらえる余地がある。
副業で経費にできるものは何か──PC・通信費・交通費の按分
副業の所得を減らすには、経費を正しく計上することが鍵だ。以下は副業で経費にできる代表的なものだ。
パソコン・スマートフォン
副業で使っている割合分だけ経費にできる。プライベートと兼用している場合は「按分」が必要だ。副業での使用時間が全体の40%なら、本体代の40%を経費にする、という形。レシートや購入明細を保存しておくこと。
通信費
インターネット代・スマホ代も同様に按分して経費にできる。副業専用のSIMを使っているなら全額経費でも問題ない。
書籍・セミナー代
副業に関連する専門書、オンライン講座、セミナー参加費は経費として認められる。「ライターとして文章力を磨くための本」「プログラミングの技術書」などは問題ない。
交通費
取材や打ち合わせのための移動費、コワーキングスペースへの交通費も経費になる。IC カードの履歴などを証拠として残しておくとよい。
作業スペース代
自宅の一室を副業専用に使っているなら、家賃の一部(使用面積の割合分)を経費にできる。コワーキングスペースの利用料はそのまま全額経費だ。
注意点として、「副業との関連性」が説明できることが前提。趣味や私的な支出と混同していると、税務調査が入ったときに否認される可能性がある。領収書は必ず保管し、どの業務に関連するかを記録しておくのが基本だ。
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フリマアプリ・ポイ活は副業の税金対象になる?
最近よく聞かれるのが、メルカリやポイ活の扱いだ。
フリマアプリ(メルカリ・ラクマなど)
自分が使っていた生活用品(衣類・家電・本など)の売却は、原則として非課税だ。「生活に通常必要な動産の売却」として所得税の対象外になる。ただし、利益目的で仕入れて転売する場合(いわゆるせどり)は事業所得や雑所得として課税対象になる。また、1個あたり30万円を超える高価な物(ブランドバッグ・貴金属・絵画など)は課税対象になる場合があるので注意が必要だ。
ポイ活(ポイントサービス)
ポイントの扱いは少し複雑だ。クレジットカードのポイントや、買い物に伴ってもらえるポイントは、原則として取得時には課税されない。一方、労働・作業の対価としてもらったポイント(アンケート回答・動画視聴など)は雑所得として課税対象になることがある。また、ポイントを使って商品を購入した場合、ポイント相当額が一時所得として課税されるケースもある。
「ポイ活で年間50万円稼いだ」という人が税務署に目をつけられた事例も出始めているらしい。完全に安全というわけではないから、大きく稼いでいる場合は専門家に相談した方が安心だ。
申告しないとどうなる?延滞税・重加算税のリスク
「少額だからバレない」と思って申告を放置するのは、かなりリスクが高い。
税務署は、銀行口座の入金履歴、プラットフォームからの支払調書、SNS上の活動記録などを組み合わせて調査を行う。副業プラットフォームは一定以上の支払いを税務署に報告する義務があるため、「知られていない」という前提自体が危ない。
申告漏れが発覚した場合のペナルティは以下の通りだ。
延滞税:納税期限から遅れた日数に応じて課税される。現在の税率は年9.18%(2026年1月時点)。「知らなかった」「忘れていた」は言い訳にならない。
過少申告加算税:申告はしたが金額が少なかった場合に課税される。本来の税額の10〜15%程度が追加される。
重加算税:意図的に所得を隠した・偽りの申告をしたと判断された場合に課税される。35〜40%という高い税率で、精神的にも金銭的にも大ダメージだ。やばかった。知っていて良かったと思った。
申告は確かに面倒だ。でも、後から追徴課税される方がはるかに面倒だし、お金もかかる。正直に申告しておくのが一番シンプルに得だ。
よくある質問(FAQ)
Q: 副業所得が20万円以下なら、何も申告しなくていいですか?
A: 所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は市区町村に別途必要です。住民税は地方税法に基づいており、所得税の申告とは管轄が異なります。副業収入がある場合は、3月15日頃までに市区町村の窓口で住民税の申告を行ってください。
Q: 副業が会社にバレないようにするにはどうすればいい?
A: 確定申告書または住民税申告書の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択してください。これにより、副業分の住民税通知が自宅に届くようになり、会社への特別徴収に含まれなくなります。ただし完全に「バレない」保証はなく、あくまでバレにくくなる対策です。
Q: 副業の確定申告で経費にできるものは何ですか?
A: PC・スマートフォン代(按分)、インターネット・通信費(按分)、副業関連の書籍・セミナー代、取材・打ち合わせのための交通費、作業スペース代などが経費にできます。プライベートと兼用のものは使用割合に応じた按分が必要です。領収書と利用目的の記録を必ず保管してください。
Q: 雑所得と事業所得、どちらで申告した方がいいですか?
A: 副業の規模や実態によります。継続的・反復的に取り組んでいて帳簿をつけている場合、事業所得として申告できれば青色申告特別控除(最大65万円)や赤字の損益通算などのメリットがあります。ただし2022年以降の国税庁通達で、収入300万円以下で帳簿がない場合は原則として雑所得扱いとなりました。
Q: メルカリなどフリマアプリの売上も確定申告が必要ですか?
A: 自分が使っていた日用品・衣類などの売却は原則として非課税です。ただし、転売目的で仕入れた商品の売却は雑所得または事業所得として課税対象になります。また1点30万円を超える高額品(ブランド品・貴金属など)は売却益が課税対象になる場合があります。


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