去年の夏の電気代と、今年の夏の電気代。並べてみたら、同じくらいの気温の日なのに明細の数字が違う。
2025年の8月、我が家の電気代は12,400円だった。2026年の5月の連休明け、エアコンを今年初めて動かした日に試算してみたら、このまま同じ使い方を続けると8月は14,000〜15,000円になるという見込みが出てきた。理由は明確で、2026年度から再エネ賦課金が1kWhあたり4.18円になったことが大きい。制度が始まった2012年以来、最高値だ。
政府の補助金も2025年で終わった。電気代はじわじわと、でも確実に上がっている。
去年まで「まあ夏だし仕方ない」と思っていた電気代を、今年は本気で見直すことにした。この記事は、2026年5月の連休明けからエアコンを動かし始めた日を起点に、僕が調べて実践したことの記録だ。
エアコンの電気代はなぜ高い?2026年夏の値上がり背景と再エネ賦課金の仕組み
まず、なぜ2026年の夏に電気代が高くなるのかを整理する。
理由は大きく3つだ。
ひとつ目は再エネ賦課金の過去最高更新だ。再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)は、太陽光などの再生可能エネルギーの普及を支えるために電気使用者が支払う費用で、電力会社の電気代に上乗せして請求される。2026年度は1kWhあたり4.18円になった。仮に月400kWh使う標準家庭なら、再エネ賦課金だけで月1,672円の負担だ。2023年時点より3倍以上の水準になっている。
ふたつ目は政府の電気代補助金の終了だ。2023年〜2025年にかけて、政府は電力・ガス価格激変緩和措置として電気代の一部を補助していた。この補助が2025年度に終了し、家庭の電気代から「補助分」が消えた。標準家庭で月500〜700円の底上げ効果があったとされる。
みっつ目は酷暑の深刻化だ。日本気象協会の2026年夏の見通しでは、40℃以上の酷暑日が全国7〜14地点に達する可能性があり、過去最多クラスの猛暑が予想されている。暑ければ暑いほどエアコンの稼働時間は長くなり、電気代は増える。
3つの要因が重なると、去年と同じ使い方でも月1,000〜1,700円の増加が見込まれる。これを「仕方ない」で済ませるか、きちんと対策するかで、夏の家計の余裕度がかなり変わってくる。
エアコンの消費電力の大きさを具体的に把握する
エアコンは家電の中でも消費電力が大きい部類に入る。8畳用の標準的な機種(冷房時)の消費電力は500〜700Wが目安で、これを1日8時間動かすと1日約4〜5.6kWhを消費する。8月の30日間では120〜168kWhになる計算だ。
1kWhあたりの電気代を(再エネ賦課金込みで)約35円とすると、エアコン1台で8月に4,200〜5,880円の電気代がかかる。2台持ちの家庭なら、エアコンだけで月8,000〜12,000円近くに達する可能性がある。
エアコン以外の家電と比べると、テレビ(液晶・40型)が約70〜100Wで、冷蔵庫が約30〜50W程度だ。エアコンの消費電力は他の家電の10倍以上になることもある。電気代を下げたければ、まずエアコンの使い方を見直すのが最も効果的だということは数字からも明らかだ。
エアコン節電の基本:設定温度1℃と電気代の関係を正確に知る
エアコン節電の話をすると、「設定温度を28℃にする」というアドバイスがよく出てくる。環境省が推奨しているので正しいのだが、なぜ28℃なのかを知っている人は少ないかもしれない。
冷房の設定温度を1℃上げると、消費電力が約10%削減されるというデータがある。逆に言えば、26℃に設定している人が28℃にするだけで、消費電力が約20%下がる計算だ。月5,000円のエアコン代なら1,000円浮く。
ただし「28℃で快適に過ごせる」という話は、条件が揃っていれば、というところが重要だ。室温28℃でも湿度が40〜60%程度に保たれていれば、扇風機やサーキュレーターで風をあてることで体感温度を3〜4℃下げられる。扇風機で風速1m/sの風をあてると、体感温度は約1℃下がると言われている。扇風機の消費電力はおおよそ30〜50Wで、エアコンの10分の1以下。エアコンの設定温度を上げながら扇風機を回すことで、快適さを保ちながら消費電力を抑えることができる。
暖房については、設定温度を1℃下げると消費電力が約10%削減されるのは冷房と同様だ。環境省の推奨は冬の暖房は20℃。「20℃では寒い」と感じる人も、厚着をして設定温度を下げる方が電気代の削減効果は大きい。
「自動」モードが意外と優秀な理由
エアコンには「冷房」「除湿(ドライ)」「自動」といったモードがある。「ドライモードの方が電気代が安い」というイメージを持っている人がいるが、これは必ずしも正しくない。
除湿モードには「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、機種によって異なる。再熱除湿は一度冷やした空気を再加熱してから室内に送るため、冷房より消費電力が高くなることがある。
室温と湿度の両方を自動で制御する「自動モード」は、現代の省エネエアコンでは比較的効率の良い運転をすることが多い。「冷房28℃」で固定するより、自動モードで温湿度を任せてしまう方が、快適さと消費電力のバランスが良い場合もある。機種ごとに異なるため、取扱説明書で確認するのが確実だ。
フィルター掃除でエアコン電気代を削減する方法──月1回で消費電力25%減の理由
連休明けの5月9日、エアコンを今年初めてつけた直後に、ちょっと嫌な予感がした。
去年の秋以来、一度もフィルターを掃除していなかった。
フィルターを外してみたら、ホコリが分厚い層を作っていた。これはヤバかった。そのまま掃除して取り付け直してからスイッチを入れると、明らかに涼しくなるスピードが速くなった気がする。プラシーボかもしれないが、実際にフィルターの詰まりは消費電力に影響する。
経済産業省のデータでは、エアコンのフィルターが目詰まりした状態で使い続けると、消費電力が最大25%増加するという数字がある。月5,000円のエアコン代なら、フィルターの汚れだけで1,250円損している計算だ。
フィルター掃除の頻度は月1〜2回が推奨されている。夏や冬のエアコンフル稼働シーズンは月2回、それ以外の時期は月1回が目安だ。
正しいフィルター掃除の方法──10分でできる手順
難しいことは何もない。準備するのは掃除機と、古い歯ブラシか柔らかいブラシだけだ。
- エアコンの電源を切る(運転中に外さない)
- 前面パネルを開けてフィルターを取り出す(多くの機種は引き出すだけ)
- 掃除機でホコリを吸う。ブラシで軽く払ってから吸うと取れやすい
- 水洗いできる機種はシャワーで流して、よく乾かしてから戻す
- 完全に乾ききっていない状態で取り付けるとカビの原因になるため、影干しで十分乾燥させる
乾燥が不安な場合は、フィルターを外した状態で(室内側のフィルターなしで)30分ほど運転するのは避ける。ホコリが直接熱交換器に付着して、より厄介な汚れになる。素直に乾くまで待つのが正解だ。
シーズン前(6月初旬と11月初旬)は、フィルターだけでなく本体内部や吹き出し口もチェックするといい。黒い点(カビ)が見えるようなら、市販のエアコン内部クリーナースプレーを使うか、プロのクリーニングを依頼する。カビが繁殖したエアコンは効率が下がるだけでなく、健康リスクもある。
室外機の管理でエアコン電気代を下げる方法──見落とされがちな節電ポイント
エアコンの節電話になると、室内の話ばかりになりがちだ。でも室外機の状態も消費電力に大きく影響する。
室外機は、エアコンが室内から吸った熱を外に排出する装置だ。この「熱の排出」がうまくできないと、コンプレッサーが余計に動いて消費電力が増える。
まず確認したいのが、室外機の周囲の風通しだ。室外機の前後に物が置いてあったり、植木鉢や段ボールで囲まれていたりすると、排熱効率が下がる。室外機の前面(吹き出し口)には最低でも50cm以上のスペースが必要で、背面や側面も10〜15cmは空けておきたい。
次に直射日光の問題だ。室外機が真夏の直射日光を受け続けると、本体自体が高温になり、放熱効率が落ちる。室外機に日よけカバーをつけることで、消費電力を5〜10%削減できるという実験データもある。ただし、風通しを塞ぐ形のカバーは逆効果になるため、メッシュ素材や通気性のあるカバーを選ぶのが鉄則だ。
室外機まわりの清掃──葉っぱや土ぼこりの詰まりをチェック
室外機の側面や背面にあるフィン(薄い金属板が並んだ部分)は、夏の終わりに枯れ葉や土ほこりが詰まりやすい。詰まりがあると熱交換効率が落ちる。
シーズン前のチェックとして、室外機の外側から覗いてフィンが詰まっていないか確認することを勧める。葉っぱや綿ホコリは、市販の室外機用のフィン清掃スプレー(洗い流し不要タイプ)を使うか、ブラシで軽く払う程度でいい。強い水流でフィンを洗おうとすると変形させることがあるので、ハイパワーの水圧はNG。
マンションのベランダに室外機を置いている場合、排水ホースからの水漏れがベランダを汚すこともある。排水ホースが詰まっているとエアコンの除湿機能が落ちることもあるため、排水の流れもシーズン前に確認しておくと安心だ。
エアコンはつけっぱなしvs都度ON/OFF──2026年版の正しい答え
これは毎年議論になる話で、友人の間でも意見が分かれる。「こまめに消した方が節電」という人と「つけっぱなしの方がいい」という人がいる。どちらが正しいか。
答えは「時間によって違う」だ。
エアコンの消費電力が最も大きくなるのは起動時だ。起動してから設定温度に達するまでの間、コンプレッサーはフル稼働する。設定温度に達した後は、温度を維持するだけなので消費電力は大幅に下がる(インバーター式の場合、維持運転は起動時の3分の1〜4分の1程度)。
これを踏まえると、「30分以内の外出」ならつけっぱなしの方が電気代は安くなるケースが多い。消したことで室温が上昇し、戻ってきてから再度冷やすための電力が、つけっぱなしにしていた場合の電力を上回ることがあるからだ。
「30分〜1時間以上」の外出であれば、状況次第だ。断熱性の高いマンションや、遮光カーテンを閉めた状態なら室温上昇が遅いので、ある程度外出してからOFFにしても部屋が温まりきる前に戻れる可能性がある。一方、木造の戸建てや日当たりの良い部屋では、30分でも室温が3〜5℃上がることがある。
「1時間以上」の外出なら、消して出かける方が基本的に電気代は安くなる。
「AI自動」運転で外出時の電力管理が変わってきた
2024〜2026年モデルの省エネエアコンには、「AI自動」や「人感センサー」機能を持つ機種が増えている。人が不在になると自動的に省電力モードに移行し、人が戻ると素早く冷房を再開する仕組みだ。
この機能があれば「つけっぱなし派」でも無駄な電力消費を抑えられる。新しいエアコンへの買い替えを検討している人は、この機能の有無もチェックポイントにするといい。
スマートフォンと連携して外出先からエアコンを操作できる「スマートリモコン」も活用できる。3,000〜5,000円程度で市販されており、帰宅20〜30分前にアプリでエアコンをONにしておけば、帰宅時には部屋が冷えている状態になる。起動の手間とタイミングを自動化することで、「とりあえずつけっぱなし」を避けられる。
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遮光カーテン・断熱シートで冷房効率を上げるエアコン節電法
エアコンがいくら頑張っても、窓から熱が入り続けるなら追いつかない。
夏の室内に入ってくる熱の約70〜75%は窓からだとされている。ガラスを通した太陽の輻射熱と、外の熱気が伝わる伝導熱が主な原因だ。エアコンの効率を上げるには、この入熱を減らすことが根本的な対策になる。
遮光カーテンは最もシンプルな対策だ。日射を遮ることで窓からの熱の侵入を大幅に減らせる。遮光2〜3級のカーテンで約30〜40%、遮光1級だと約70〜80%の日射遮蔽効果があるとされる。日中、直射日光が当たる窓は必ず閉めておく習慣をつけるだけで、室温の上昇を1〜2℃抑えられる。
断熱シート(窓に貼るタイプ)は、ガラスの断熱性能を補強して熱の伝達を抑える。賃貸でも貼り付け可能な接着剤不要タイプが増えており、1枚1,500〜4,000円程度で入手できる。夏だけでなく冬の断熱にも効果があるため、年間を通じて電気代の節約につながる。
窓の外側からの対策として、グリーンカーテン(つる性植物を育てて日よけにする)も効果的だ。植物の葉が太陽光を遮るだけでなく、蒸散(葉から水分が蒸発するプロセス)で周辺温度を下げる効果もある。ゴーヤやアサガオが定番で、ベランダに置いたプランターから誘引ネットで育てると、南面の窓の遮熱対策になる。
サーキュレーターの使い方で体感温度を下げる
冷房の設定温度を上げながら快適さを維持するには、風の使い方がカギになる。
サーキュレーターはエアコンの冷気を部屋全体に循環させるのに使う。エアコンの冷気は重いため床付近に溜まりやすく、部屋の上部は暖かいままになりやすい。サーキュレーターをエアコンの向かい側に置いて、エアコンに向かって風を送るか、天井に向けて循環させると空気の温度ムラが減る。
体に風を直接あてる「扇風機」との違いはここで、サーキュレーターは「室内の空気を混ぜる」のが目的だ。両方使うのも効果的で、サーキュレーターで空気を循環させながら、扇風機の風を体に直接あてることで体感温度を下げられる。
また、夜間の外気温が室内より低くなったタイミングで窓を開けて外気を取り込むのも有効だ。東京や大阪などの都市部では夜間でも28〜30℃台になる熱帯夜が増えているため、夜に窓を開けるだけで冷えない場合もある。そのときは外気との温度差を確認してから判断する。
省エネ基準2024〜2026年モデルへの買い替えは節電になるか
「新しいエアコンに替えたら電気代が下がった」という話は本当によく聞く。実際のところはどうなのか。
2024〜2026年発売のエアコンは、2015年前後の機種と比べると冷房効率が20〜40%改善している機種が多い。省エネ基準の達成率も高く、最上位モデルでは旧機種の約6割の消費電力で同等の冷房能力を発揮する。
10年以上使っているエアコンがあるなら、買い替えを検討する価値はある。新品の8畳用エアコンが7〜12万円程度として、電気代の差額が年間1万5千〜2万円節約できるとすれば、5〜7年で元が取れる計算になる。エアコンの平均寿命が10〜13年とされているので、電気代の節約効果として見た場合に合理性がある場合がある。
ただし、エアコンの生産には大量のエネルギーと資源が使われる。「まだ動く」エアコンをすぐに替えるのが環境的に正しいかどうかは、別の議論もある。使用年数が7〜10年未満で基本的に故障なく動いている場合は、まず節電の使い方を見直す方が現実的かもしれない。
エアコン選びで確認すべき「APF」の数値
エアコンを買い替える際に最もわかりやすい省エネ指標が「APF(通年エネルギー消費効率)」だ。
APFは「1kWhの電力でどれだけの冷暖房効果(kWh相当)を生み出せるか」を示す数値で、高いほど省エネ性能が高い。2026年時点の最上位モデルでは、6畳〜8畳用でAPF7.0前後のものも出てきている。APFが7.0なら、投入した電力の7倍の冷暖房効果があるということだ。
同じ部屋サイズ・同じ機能でも、APFが5.5の機種と7.0の機種では、電気代が年間で2,000〜4,000円変わることがある。カタログのスペック表で必ず確認してから選ぶことを勧める。
よくある質問(FAQ)
Q: エアコンの設定温度を何度にすれば電気代が節約できますか?
A: 冷房は28℃、暖房は20℃が経済産業省・環境省の推奨基準です。冷房は設定温度を1℃下げるごとに消費電力が約10%増加するため、26℃から28℃に変えるだけで約20%削減できます。扇風機を併用して体感温度を下げると、28℃でも不快感なく過ごせます。
Q: エアコンのフィルター掃除はどのくらいの頻度でやればいい?
A: 夏・冬のエアコン稼働シーズンは月2回、それ以外は月1回が推奨です。フィルターが目詰まりした状態では消費電力が最大25%増加するというデータがあります。掃除機でホコリを吸い取り、水洗いできる機種はシャワーで洗浄して完全に乾かしてから戻してください。
Q: エアコンはつけっぱなしとこまめにON/OFF、どちらが節電になりますか?
A: 30分以内の外出ならつけっぱなしの方が電気代は安くなるケースが多いです。エアコンは起動時の消費電力が最も大きく、再起動のたびに電力を多く使います。1時間以上の外出なら消して出かける方が節電になります。外出時間に応じて使い分けるのが正しい答えです。
Q: 2026年度の再エネ賦課金は過去最高と聞いたが、実際どのくらい電気代に影響する?
A: 2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円で、制度開始(2012年)以来の最高値です。月400kWh使う標準家庭で月約1,672円の負担になります。2023年度の約1.40円から約3倍に増加しており、政府補助金の終了と合わせると月1,000〜1,700円程度の電気代増加要因になっています。
Q: 室外機の周りを整えると電気代は下がりますか?
A: 下がります。室外機の前面に50cm以上のスペースを確保し、直射日光を避けることで5〜10%の消費電力削減効果があります。室外機が高温になると排熱効率が下がり、コンプレッサーが余計に動くためです。日よけカバー(通気性のあるメッシュタイプ)の設置も有効です。

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