電気代・ガス代が2026年5月から月1,700円上がる理由──再エネ賦課金過去最高+補助終了の衝撃をわかりやすく解説

日本生活

先週、電力会社から「お知らせ」のメールが届いた。開いてみると、5月分(4月使用分)からの料金改定について書いてある。なんだかよくわからない項目がズラッと並んでいて、要するに「高くなります」ということだけは伝わってきた。

で、具体的にいくら上がるんだと思って調べ始めたら、思ったより話が大きかった。

政府の補助が終わった。再エネ賦課金が過去最高になった。一部の電力会社は独自値上げも重ねた。これが全部、今年の5月から同時にのしかかってくる構造になっている。

標準的な家庭で月1,000〜1,700円前後の増加。年間にすると1万2,000〜2万円の話だ。ヤバい。

black electric post near brown concrete building during daytime

Photo by Rémi Bertogliati on Unsplash

2026年5月から電気代が高い理由──補助終了と再エネ賦課金引き上げが同時に直撃

まず整理しよう。2026年5月からの値上がりには、大きく分けて2つの要因がある。

一つ目は、政府の電気・ガス料金補助の縮小・終了だ。二つ目は、2026年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の引き上げ。この2つが重なったことで、家庭の光熱費が一気に跳ね上がる。

どちらか一方だけでも痛い。両方同時は、正直キツい。

補助が始まった当時のことを思い出してほしい。2022年後半から2023年にかけて、ロシアのウクライナ侵攻などを背景に電気代・ガス代が急騰した。あのとき政府が「電気・ガス価格激変緩和対策」として導入したのが、使用量に応じて料金を割り引く補助制度だった。電気は1kWhあたり3.5円、都市ガスは1㎥あたり15円など、毎月数百円〜千円以上が補助されていた時期もある。

その補助が、段階的に縮小されて終了した。ガスの補助は2026年4月使用分(5月請求分)からゼロになった。電気の補助もすでに大幅に縮小されており、実質的な恩恵はほぼなくなっている。

補助があった時代と今を比べると、「何も変わっていないのに電気代が高くなった」と感じるのは当然で、実際に高くなっている。補助がなくなったぶんがそのまま請求書に乗ってくるからだ。

再エネ賦課金2026年度は4.18円──2012年制度開始以来の過去最高値

もう一つの要因、再エネ賦課金について説明しておきたい。

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを電力会社が高値で買い取るための費用を、電気を使う人全員で分担する制度だ。買い取り価格は固定(FIT制度)なので、市場の電力価格が上がろうが下がろうが関係なく、毎年度一定額として設定される。

この賦課金が、2026年度は1kWhあたり4.18円に設定された。前年度(2025年度)は3.98円だったので、0.20円の引き上げだ。

「0.2円か、大したことないな」と思うかもしれない。ところが、これが積み重なると大きい。

標準家庭の月間使用量260kWhで計算すると、前年度比で月52円分の増加になる。年間で約624円。それだけなら確かに大したことはない。問題は補助終了との合算効果だ。

賦課金の単価が4.18円になったということは、260kWhで月1,087円が賦課金として取られるということでもある。2012年に制度が始まったとき、賦課金は1kWhあたり0.22円だった。そこから14年で約19倍になった。制度開始以来の過去最高値。この事実は重い。

brown wooden post near green trees during daytime

Photo by Lucas Calloch on Unsplash

標準家庭の電気代・ガス代いくら上がる?2026年5月の試算

具体的な数字を見ていこう。

電気代の増加分(月260kWhの標準家庭の場合)

補助終了による増加分と、再エネ賦課金引き上げ分を合算すると、月あたりの増加額は概ね以下のようになる。

再エネ賦課金の引き上げ分だけで月52円。しかし補助縮小・終了による実質的な負担増は、世帯によって異なるが数百円〜1,000円規模になると試算されている。電力会社の独自値上げが重なっている地域では、さらに数百円が上乗せされるケースもある。

合計すると、月1,000〜1,500円前後の増加が標準的な家庭の目安になる。

ガス代の増加分

都市ガスについては、補助が2026年4月使用分(5月請求分)からゼロになった。補助があった時期に比べて、月200〜500円程度の増加になるとされている。

なお、LPガス(プロパンガス)は今回の補助制度の対象外だったため、終了による直接の影響はない。ただし、LPガス自体の価格は市場の原料価格に連動するので、別の要因で動くことはある。

電気+ガス合算の影響

電気とガスを両方使っている家庭(最も一般的なパターン)では、合計で月1,000〜1,700円前後の増加になると見込まれる。年間では1万2,000〜2万円強。家計にとって無視できない水準だ。

…いや、「前後」という書き方では伝わりにくいか。実際は住んでいる地域、契約している電力会社、家の広さ、使用量によって大きく変わる。あくまで目安として捉えてほしい。

電気代の補助はいつまで続いた?補助制度の経緯を振り返る

「補助が終わった」と聞いても、そもそも補助がいつどのように始まったか知らない人も多いと思う。少し歴史をたどっておく。

2022年後半、電気・ガス代が急騰した。原因はロシアのウクライナ侵攻による天然ガス価格の世界的な上昇、円安による輸入コストの増大、そして電力の市場価格の高騰が重なったことだ。東京電力の規制料金は2023年6月に約30%値上げされた。他の電力会社も軒並み大幅値上げとなった。

これに対して政府は2023年初頭から「電気・ガス価格激変緩和対策」を導入。電気は1kWhあたり最大7円(低圧)、都市ガスは1㎥あたり最大30円の割引を、電力会社・ガス会社を通じて家庭に直接還元する仕組みを作った。

以降、補助単価は段階的に縮小されていった。2024年末には一度完全終了の方向性が示されたが、物価対策として2025年も部分的に継続された。そして2026年、ついに終了となった。

補助が始まってから約3年。この3年で電力市場の構造は変わったのかというと、劇的には変わっていない。再エネ比率は上がっているが、天然ガスへの依存も続いている。補助がなくなった今、あの2022年〜2023年の高値水準まで戻るかもしれないという不安も、正直ある。

なぜ再エネ賦課金は毎年上がり続けるのか──FIT制度の仕組みと今後の見通し

再エネ賦課金が過去最高を更新し続けている背景には、FIT制度(固定価格買取制度)の構造がある。

FIT制度とは、太陽光や風力などで発電した電気を、電力会社が一定期間・固定価格で買い取ることを義務づける制度だ。2012年に導入されたとき、太陽光パネルはまだ高価で普及していなかった。普及を促すため、1kWhあたり40円以上という高い買取価格が設定された。

今、その太陽光パネルは劇的に安くなった。新しく設置する場合の買取価格は大幅に下がっている。しかし、2012〜2014年ごろに「40円以上」で契約した案件は、20年間その価格で買い取り続けなければならない。まだ買取期間が10年以上残っている案件も多く存在する。

その差額分が賦課金として積み上がり続けているのが今の状況だ。「再エネが普及してきたのに、なんで賦課金が下がらないんだ」という疑問はよく聞くが、答えはこれだ。過去の高値契約の残債を、全員で払い続けているわけだ。

ただ、一部の試算では2030年代半ばをピークに賦課金は減少に転じるという見方もある。今が一番きつい時期、かもしれない。

A blue car parked at a gas station

Photo by Mikhail | luxkstn on Unsplash

5月から電気代・ガス代を少しでも下げるための節約対策5つ

「値上がりするのは仕方ない、でも何かできることはないか」という人のために、実効性のある対策を5つまとめた。

①新電力・電力会社の料金プランを見直す

今加入している電力会社・プランが本当に最安かどうか、確認したことがない人は多い。電力自由化以降、新電力各社が様々なプランを出している。使用量や生活パターンによっては、切り替えで月数百円の節約になることもある。

電力比較サイト(エネチェンジなど)でシミュレーションしてみるのが手っ取り早い。ただし、切り替えにかかる手間と節約額を天秤にかけて判断すべきだ。

②エアコンのフィルター掃除と設定温度見直し

フィルターが詰まったエアコンは効率が落ち、電力消費が増える。月に1回の掃除で消費電力が数パーセント下がるという試算がある。また、冷房の設定温度を1度上げると約10%の節電になるとされている。

これだけで大きな金額になるわけではないが、積み重なれば年間数千円の差になる。

③待機電力をカットする

テレビ、レコーダー、電子レンジなどの待機電力は、合計すると月数百円分になることもある。主電源をこまめに切る習慣をつけるか、電源タップのスイッチを活用する。

④給湯器の設定温度を下げる

ガス代を下げるなら給湯器の設定温度の見直しが効果的だ。使う直前に適温にするより、最初から低め(38〜40度)に設定しておく方がガスの消費を抑えられる。シャワーの時間を1分短縮するだけで、月に数十リットルのガス節約になる。

⑤電力・ガスのセット割や時間帯別料金プランを活用

一部の事業者では電気とガスをセットで契約すると割引になるプランがある。また、夜間に電力使用量が多い家庭には時間帯別料金プランが合うことがある(夜間電力が安い代わりに昼間は高い構造なので、ライフスタイルとのマッチングが重要)。

先月、知り合いが「電気とガスのセット割に切り替えたら月に400円くらい安くなった」と言っていた。具体的な額は微妙だが、手間をかけずに毎月発生する節約というのは地味に大きい。年間5,000円近くになる。

今後の電気代・ガス代はどうなる?2026年以降の見通し

補助が終わった今、これから先はどうなるのか。正直、楽観できる材料は多くない。

一つ目の懸念材料は、再エネ賦課金が当面は高水準で推移する可能性が高いことだ。先述のとおり、FIT制度の高値契約分の残債が残っている。4円台の賦課金が5円に近づいていく可能性も否定できない。

二つ目は、円安リスクだ。日本は電力の原料(LNG=液化天然ガス)の大部分を輸入に頼っている。円安が続けば輸入コストが上がり、電力・ガス価格に転嫁される。2022〜2023年の急騰の一因は円安だったことを忘れてはならない。

三つ目は、電力会社の独自値上げの可能性だ。東京電力は高圧部門の価格体系を見直すと発表しており、その影響が間接的に家庭用にも及ぶ可能性がある。

明るい見通しとしては、再エネの普及とコスト低下により2030年代には市場価格が下がり始めるという見方がある。蓄電池とセット運用によって昼間の安価な再エネ電力を使いやすくなれば、家庭でのコントロール余地も広がる。が、それは数年後の話だ。

今年・来年という短期的な視点では、値上がりが続くと想定してライフプランを組んだほうが現実的だろう。

よくある質問(FAQ)

Q: 2026年5月から電気代はいくら上がりますか?

A: 標準家庭(月260kWh使用)では補助終了と再エネ賦課金引き上げの合計で月1,000〜1,500円前後の増加が見込まれます。都市ガスの補助終了分も加えると月1,000〜1,700円程度の増加になるケースが多いです。住んでいる地域や使用量によって変わります。

Q: 再エネ賦課金2026年度の単価はいくらですか?

A: 2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円です(前年度比0.20円引き上げ)。2012年の制度開始以来、過去最高の単価となっています。標準家庭の月260kWhで計算すると、月々約1,087円が賦課金として電気代に含まれています。

Q: 電気代の政府補助はいつ終わったのですか?

A: 電気・ガス料金の政府補助(電気・ガス価格激変緩和対策)は段階的に縮小され、2026年には実質的に終了しました。都市ガスの補助は2026年4月使用分(5月請求分)からゼロになっています。補助が厚かった2023年頃と比較すると、その差が電気代・ガス代の増加として体感されます。

Q: LPガス(プロパンガス)も値上がりしますか?

A: 今回の政府補助終了の影響はLPガスには直接ありません。LPガスは今回の激変緩和対策の対象外だったためです。ただし、LPガスは原料の輸入価格や為替の影響を受けるため、それとは別の要因で価格が変動することはあります。

Q: 電気代・ガス代の値上がりに対して家庭でできる節約対策は?

A: 電力会社・料金プランの見直し、エアコンフィルター掃除と設定温度の適正化、待機電力のカット、給湯器の設定温度を下げるといった対策が効果的です。電気とガスのセット契約割引を利用することで月数百円の節約になるケースもあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました