5月の風が少し生ぬるくなってきたころ、ふと通帳を開いた。
メガバンクの普通預金。残高の横に書いてある利子の欄。小数点以下がいくつも並んで、最後に「円」と出てくる。先月まで100万円近く置いてあったのに、1年で受け取った利息は300円ちょっとだった。
300円。コンビニのコーヒー1杯にもならない。
同じタイミングで、国債の利回りが29年ぶりの高水準だというニュースが流れていた。長期金利が一時2.60%を超えたという話だ。「銀行に預けておくより国債のほうがいい」という声も出始めている。そういう流れの中で、ネット銀行の定期預金金利がじわじわ上がってきている。
調べてみて、びっくりした。差がすごい。
メガバンクとネット銀行、同じ「定期預金」なのに金利がこれほど違うとは思っていなかった。この記事は、2026年5月時点の定期預金金利を比較しながら、どの銀行を選ぶべきかを整理した記録だ。
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2026年5月の定期預金金利ランキング──ネット銀行が圧倒的に有利な理由
まず現状を整理する。2026年5月時点で、主要な銀行の1年もの定期預金金利は以下のようになっている。
- SBJ銀行(新規口座開設限定):年1.40%
- SBJ銀行(通常):年1.25%
- 大和ネクスト銀行:年1.20%
- オリックス銀行:年1.05%
- 三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行(メガバンク3行):年0.40%
並べるとわかる。ネット銀行の上位と、メガバンクの間に3倍以上の開きがある。
「ネット銀行のほうが金利が高い」というのは前から言われていたことだけど、2026年に入ってその差がさらに広がった印象がある。長期金利の上昇を受けて、ネット銀行側が積極的に金利を引き上げてきているからだ。
メガバンクも0.40%まで上げてきた。2024年以前は0.01%や0.002%だったことを考えると、かなりの引き上げではある。でも、ネット銀行の動きはそれを上回るペースで進んでいる。
なぜネット銀行はここまで金利を上げられるのか。答えは単純で、店舗を持たないから運営コストが圧倒的に少ない。ATMネットワークも自前では持たず、ほとんどの手続きがアプリやウェブで完結する。削減できたコストの一部を、金利という形で預金者に還元しているわけだ。
メガバンクは全国に支店があって、ATMがあって、窓口のスタッフがいて、その維持費が金利設定に影響している。同じ「銀行」という名前でも、ビジネスモデルが根本的に違う。
メガバンクとネット銀行の定期預金金利比較2026──100万円を1年預けたらいくら増える?
数字で見るとわかりやすい。100万円を1年間定期預金に預けた場合の税引前利息を計算してみる。
- メガバンク(0.40%):100万円 × 0.40% = 4,000円
- SBJ銀行新規(1.40%):100万円 × 1.40% = 14,000円
- 大和ネクスト銀行(1.20%):100万円 × 1.20% = 12,000円
- オリックス銀行(1.05%):100万円 × 1.05% = 10,500円
メガバンクとSBJ銀行新規の差は、1年で10,000円だ。税引後でも7,900円ほどの差が出る。
「1万円くらい」と思うかもしれないけど、これが3年・5年と続けば話が変わってくる。同じリスクゼロで、同じ元本保証の金融商品なのに、どこに預けるかだけでこれだけの差が生まれる。
去年の僕は何も考えずにメガバンクの普通預金に全部入れていた。知らなかった。
…いや、知ってはいたけど、口座を開設する手間が面倒で後回しにしていた、というのが正直なところだ。
ネット銀行の口座開設は、今はスマートフォンとマイナンバーカード(または運転免許証)があればほぼ完結する。書類を郵送したり窓口に行ったりする必要はほとんどない。手間は思っていたより全然少ない。
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SBJ銀行・大和ネクスト銀行・オリックス銀行──ネット銀行3行を具体的に比較する
主要なネット銀行について、もう少し詳しく見ていく。
SBJ銀行:2026年5月現在の最高金利1.40%
韓国系のネット銀行で、定期預金の金利競争では常にトップクラスに位置している。2026年5月現在、新規口座開設者向けのキャンペーン金利として年1.40%を提示している。通常金利でも1.25%と、他のネット銀行と比較しても高水準だ。
注意点が一つある。「新規口座開設限定」という条件がついている場合、既存の口座保有者は適用外になる。キャンペーンの詳細と終了時期は必ず公式サイトで確認してほしい。金利は告知なく変更される場合がある。
SBJ銀行は日本預金保険機構の加入金融機関なので、ペイオフ(後述)の適用もある。安全性の面では問題ない。
大和ネクスト銀行:大手証券系の安心感と年1.20%
大和証券グループ傘下のネット銀行。証券口座との連携を前提とした設計になっていて、大和証券の口座を持っている人にとっては使い勝手がいい。1年もの定期預金の金利は年1.20%で、SBJには及ばないが安定して高い水準を維持している。
大手証券グループという背景から「信頼性が高そう」という印象を持つ人も多いが、定期預金の保護という観点ではどのネット銀行も同じ条件(ペイオフの対象)なので、そこで選ぶ必要はない。
オリックス銀行:バランス型の選択肢として年1.05%
オリックスグループのネット銀行で、ローンや保険なども扱う。定期預金の金利は年1.05%で、SBJや大和ネクストよりは低い。ただし、途中解約時の扱いやUI・サポート体制を重視する人には選択肢に入る。
定期預金の金利だけで選ぶなら現時点ではSBJ銀行が有利だけど、他の金融サービスとの組み合わせや、使いやすさを優先するなら大和ネクストやオリックスという選択肢もある。
定期預金選びの注意点──途中解約・ペイオフ・キャンペーン条件を必ず確認
金利の高さだけで選ぶと、後で困ることがある。定期預金には固有のリスクと注意点がいくつかある。
途中解約すると金利が激減する
定期預金を満期前に解約した場合、適用金利が大幅に引き下げられる。多くの銀行では「途中解約時の金利は年0.01%」などの条件になっている。1.40%で預けていたとしても、途中で解約すれば利息はほとんどゼロに近くなる。
「急にお金が必要になる可能性がある」という人は、全額を定期預金に入れるのではなく、生活費の数ヶ月分は普通預金に残しておくのが基本だ。
「でも普通預金も最近は金利が上がってるんじゃ?」という疑問はもっともで、SBI新生銀行のステップアッププログラムなど、0.3%を超える普通預金商品も登場してきている。緊急用の資金は、そういった流動性の高い商品に置いておくという選択肢もある。
ペイオフ(預金保険制度)の仕組みを知っておく
「ネット銀行に預けて、もし銀行が潰れたら?」という心配をする人もいる。答えを言うと、日本の預金保険制度(ペイオフ)があるため、1つの金融機関あたり元本1,000万円+その利子までは保護される。
SBJ銀行も大和ネクスト銀行もオリックス銀行も、いずれも預金保険機構に加入している。1,000万円以内であれば、万一の場合でも元本と利子は保護される。メガバンクも同じ条件なので、この点での差はない。
ただし、1,000万円を超える資産を1つの銀行に預ける場合は、複数の銀行に分散させる必要がある。
キャンペーン金利の条件を必ず読む
「新規口座開設限定」「初回預け入れ限定」「上限〇〇万円まで」といった条件が付いているキャンペーン金利は多い。広告の金利だけを見て飛びつくと、実際には条件を満たせないケースがある。
自分が条件を満たしているか、上限額はいくらか、キャンペーン期間はいつまでかを事前に確認してから申し込む必要がある。
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長期金利2.60%と定期預金金利上昇の背景──今後の金利はどうなる?
2026年5月、日本の長期金利(10年国債利回り)が一時2.60%を超えた。1997年以来、約29年ぶりの高水準だ。
これは日銀の金融政策の転換と切り離せない話だ。2024年以降、日銀は「異次元緩和」と呼ばれた超低金利政策から距離を置き始めた。政策金利の引き上げが続いたことで、市中金利も少しずつ上がってきている。その流れが定期預金金利にも反映されている。
では、今後の金利はどうなるか。正直なところ、これは誰にも断言できない。日銀の政策次第、世界経済の動き次第、為替の動き次第という部分が大きい。
「もっと金利が上がってから預けよう」と待つのは一つの考え方だけど、待っている間は低金利のまま置いておくことになる。今の1.20〜1.40%という水準は、2020〜2023年の状況と比べると十分に魅力的な水準だ。
「金利の頂点を当てに行く」のは難しい。今の金利で預けられる期間と金額を活用するというアプローチのほうが、多くの人にとって現実的だろう。
定期預金とネット銀行普通預金──流動性と金利のバランスを考える
定期預金は金利が高い代わりに、途中で自由に使えないという制約がある。ネット銀行の普通預金は、定期より金利は低いが、いつでも引き出せる。
2026年時点で、この両者のバランスをどう取るか。
一つの考え方として、「生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)」はネット銀行の普通預金か、高金利の流動性商品に置いておく。それを超えた余剰資金は、1〜3年の定期預金に入れて金利を取りに行く。というのがシンプルで実践しやすい。
「投資と違って元本保証がある」という定期預金の強みは、株式投資や投資信託とは異なる役割を果たす。NISA口座で積立投資をしながら、生活に近い資金の一部を定期預金に入れておくという組み合わせは、今の時代に合った資産配置の一つだ。
全部を定期預金に入れる必要はないし、全部を普通預金に置いておく必要もない。どちらでもない、自分の状況に合った分け方を考えることが大事なんだよね。
よくある質問(FAQ)
Q: 2026年5月現在、定期預金の金利が一番高いネット銀行はどこですか?
A: 新規口座開設限定のキャンペーンを含めると、SBJ銀行の年1.40%が2026年5月時点で最高水準です。通常金利でも同行は1.25%と高く、次いで大和ネクスト銀行の1.20%、オリックス銀行の1.05%が続きます。ただしキャンペーン金利は期間や条件が変わることがあるため、申し込み前に公式サイトで最新情報を確認してください。
Q: ネット銀行の定期預金は安全ですか?潰れたらどうなりますか?
A: 日本の預金保険制度(ペイオフ)により、1つの金融機関あたり元本1,000万円とその利子までは保護されます。SBJ銀行・大和ネクスト銀行・オリックス銀行はいずれも預金保険機構の加入金融機関であり、この保護の対象です。メガバンクと同じ保護が受けられるため、1,000万円以内の預け入れであれば安全性の面で問題はありません。
Q: 定期預金を途中解約したら金利はどうなりますか?
A: 途中解約した場合、適用される金利が大幅に引き下げられます。多くの銀行では途中解約時の適用金利が年0.01%程度まで下がります。1.40%の高金利で預けていても、満期前に解約すると利息はほとんど受け取れなくなります。定期預金に入れる前に、解約が必要になる可能性を考えて金額を決めることが重要です。
Q: メガバンクの定期預金と比べて、ネット銀行は何が違うのですか?
A: 最大の違いは金利です。2026年5月時点でメガバンク3行の1年もの定期預金金利は0.40%ですが、ネット銀行上位は1.05〜1.40%と3倍以上の差があります。100万円を1年預けた場合、メガバンクは税引前4,000円、SBJ銀行新規は14,000円と約10,000円の差が生じます。ネット銀行は店舗を持たずコストを削減できるため、その分を金利に還元できる構造になっています。
Q: 長期金利が上昇しているなら、今すぐ定期預金を始めるべきですか?
A: 「今すぐがベスト」とは断言できませんが、今の1.20〜1.40%という水準は2020〜2023年の時代と比較して十分に魅力的です。金利の頂点を予測して待ち続けるより、現在の水準で預けられる金額から始めるアプローチが現実的です。生活防衛資金は普通預金に残しつつ、余剰資金の一部から定期預金を活用するのが無理のない始め方です。


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