GW明けに仕事へ行けなかった話──五月病になる人とならない人、何が違うのか

日本生活

正直に言う。去年のGW明け、僕は会社に行けなかった。

5月7日の朝。目覚ましが7時に鳴って、体を起こそうとしたら、起きられなかった。正確には、体は動くのに、動く理由が見つからなかった。寝不足でもない。熱もない。ただ、「行けない」という感覚が、布団と体のあいだにべったりと張り付いていた。

30分くらいそのまま天井を眺めて、会社に「体調不良で休みます」とメッセージを打った。送信ボタンを押した瞬間、罪悪感と安堵感が同時に来た。あの複雑な感覚は今でも覚えている。

あれが五月病というやつだったのか。当時はそんな言葉、頭になかった。ただのサボりだと思っていた。でも後になって調べてみると、自分と同じような体験をした人が相当数いることがわかった。

2026年のGW明けを迎えた今、同じ状態に陥っている人も多いだろうと思って書くことにした。

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五月病になった人の共通点──なりやすい6つのタイプ

マイナビが2026年に実施した調査によると、正社員の約2割が「五月病になったことがある」と回答している。5人に1人という数字だ。さらに五月病経験者の約4割が「転職を考えたことがある」とも答えている。五月病は単なる「気のゆるみ」じゃなくて、その後のキャリアにまで影響を与えることがある。

では、なりやすい人とはどんな人か。6つのタイプに整理してみた。

  • 4月に頑張りすぎた人:新環境への適応で全力を出し切り、連休で緊張が切れるパターン
  • 責任感が強い人:「迷惑をかけてはいけない」という思いが逆に自分を追い込む
  • 新社会人・異動・転職1年目の人:入社や環境変化から1か月でちょうど疲れが溜まる時期と重なる
  • 自分に厳しい人:「これくらいで弱音を吐いてはいけない」と気づくのが遅れる
  • 休み方が下手な人:GW中も仕事のことが頭から離れず、休めていない状態で明けを迎える
  • 人間関係に悩みを抱えている人:連休中に孤立感が増し、戻ることへの抵抗感が強まる

当てはまるものがあった人は、要注意だ。

「頑張りすぎた4月」の反動が来るパターン

五月病のメカニズムで最も多いのが、「4月の緊張の糸が連休で切れる」というものだ。

4月というのは、日本社会では一斉に「新しいこと」が始まる月だ。新入社員は研修と名刺交換と先輩への気遣いで精神をすり減らし、異動した人は新しいチームのルールを覚えながら成果も出さなければならない。慣れない環境で「ちゃんとしなければ」という緊張状態が約1か月続く。

そこに連休が来る。緊張が一気にゆるむ。体と心は「やっと休んでいいんだ」と判断して、回復モードに入る。問題は、連休が終わっても体と心がそのモードから戻りきれないことだ。エンジンを止めたあとに、また全力で走れと言われても、すぐには動かない。

これが「反動型」の五月病だ。4月を頑張れば頑張るほど、リスクは高まる。

責任感が強い人ほど危ない理由

もうひとつ、見落としがちなのが「責任感型」の五月病だ。

真面目で責任感の強い人は、自分の体の異変に気づきにくい。「これくらいで休んでいたら周りに迷惑がかかる」「新人なのに弱音を吐いてはいけない」と思い込むあまり、SOS信号を自分で握りつぶしてしまう。

サボりたい気持ちがゼロなのに、体が動かない。これが五月病の典型だ。

責任感の強い人ほど、「自分が行けないのはおかしい、甘えだ」と自己否定に入りやすい。そしてその自己否定がさらに心を削る。悪循環だ。

「頑張っているのに行けない」という状態は、頑張っていないのではなく、頑張りすぎた結果なのだということを、最初に言っておきたい。

五月病にならなかった人は何が違うのか

同じ環境で働いていても、五月病になる人とならない人がいる。能力の差でも、根性の差でもない。何が違うのか。

僕の会社でも、同期で入った4人のうち、GW明けに元気に出社していたのは2人だった。残り2人は僕を含めて「なんかしんどい」状態だった。あとから話を聞くと、元気だった2人はGW中に全然違う過ごし方をしていた。

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連休の過ごし方で差がつく

五月病にならなかった人の連休の使い方には、いくつかの共通点があった。

1. 「仕事モードを完全にオフにする日」を作っていた
仕事のメールや連絡をあえて見ない日を意識的に設けていた人は、連休後も回復スピードが早かった。完全に切り替えることで、脳が休めるからだ。

2. 「身体を動かす時間」を確保していた
ジムや散歩、スポーツなど、体を使う活動を入れていた。精神的な疲れは、意外と身体を動かすことでほぐれる。ずっとゴロゴロしていた人より、動いていた人のほうが休み明けのスタートが軽かった。

3. 「仕事に戻る準備」を少しだけしていた
これは逆説的だが、連休最終日に翌日の出社をイメージするだけで、いきなり現実に叩き戻される感覚が和らぐ。何時に起きるか、どのルートで通勤するか、午前中に何をするか──そのくらいの簡単なシミュレーションをしておくだけで、切り替えがスムーズになる。

「切り替えスイッチ」を持っている人たち

もっとシンプルな違いもある。五月病にならない人は、「オンとオフの切り替えスイッチ」を持っている。

具体的には、「仕事モードに入るための儀式」があるかどうかだ。たとえば、コーヒーを淹れる、決まった音楽をかける、特定のルートで歩く。こういった習慣が、「これから仕事だ」という切り替えを助ける。

逆に、オンとオフが曖昧な人は、連休が長くなるほど「仕事モード」に戻るハードルが上がる。9連休は想像以上に体と心を「休息モード」に固定してしまう。

……いや、これは単純に「習慣の差」だけじゃないかもしれない。性格や環境の違いも大きい気がするし、もう少し掘り下げが必要か。ひとまず次に進もう。

GW明けのリアルな症状チェック──「これって五月病?」

「なんかしんどい気がするけど、五月病なのか、ただの疲れなのかわからない」という人のために、症状を整理しておく。

Googleの検索データでは、GW明けの5月7日前後に「仕事行きたくない」「五月病 症状」「五月病 チェック」の検索数が年間最大のピークを迎える。それだけ多くの人が「これって五月病?」と感じているということだ。

身体症状 vs 精神症状の見分け方

五月病の症状は、大きく「身体症状」と「精神症状」に分けられる。

身体症状

  • 朝、どうしても起き上がれない(睡眠は足りているのに)
  • 食欲がわかない、または食べ過ぎる
  • 頭痛や胃の不調が続く
  • 体が重くだるい感じが取れない
  • 眠りが浅くなった、または眠りすぎる

精神症状

  • 会社・学校のことを考えると気持ちが沈む
  • 以前は楽しめていたことに興味が持てない
  • 集中力が落ちて、ミスが増えた
  • 理由のない不安や焦りが続く
  • 人と話すのが億劫になった

つらい。

2〜3個当てはまるなら「五月病の入口」。5個以上なら「本格的な五月病」として対処が必要だ。ただし、これらの症状が2週間以上続く場合は、単なる五月病ではなく適応障害やうつ病の可能性もあるので、専門家への相談を考えた方がいい。

「六月病」という新しい概念

最近、「六月病」という言葉が注目されている。

これは、GW明けの5月を「気合いで乗り越えた」人が、6月になって急に崩れる現象だ。5月は短期間だから、意地と気力でなんとかなる。でも6月は長い。梅雨も重なる。5月に無理をした人が6月にガクッと落ちるパターンが増えているらしい。

「自分には五月病はなかった」と思っている人も、6月に入ってから急に調子が悪くなった場合は、これが原因かもしれない。5月に無理をしたかどうかを振り返ってみてほしい。

五月病も六月病も、根っこは同じだ。「無理をしたのに、休めなかった」。それだけのことだ。

今日・明日すぐできる対処法5つ

「じゃあどうすればいいんだ」という話をする。難しいことは何もない。今日から始められるものだけ書く。

朝の儀式を作る・ランチの楽しみを仕込む

対処法1: 朝の「儀式」を1つ作る
朝起きたらまず散歩に行く、コーヒーを挽いてから着替える、お気に入りのポッドキャストを聴きながら通勤するなど、「これをやれば仕事モードに入れる」という儀式を1つ作る。最初の3日だけ続ければ、体が慣れてくる。

対処法2: ランチに「楽しみ」を仕込む
行きたかったランチのお店、食べたかったもの、同僚との約束——午前中を乗り切るための小さな楽しみを朝のうちに用意しておく。「午前中さえ乗り越えれば」という気持ちになれるだけで、体の動きが変わる。これ、地味に効く。

対処法3: 「1週間だけ乗り越えればいい」と区切る
GW明けの1週間は、人生で最も出社が辛い週のひとつだ。でも1週間後には「ああ、普通の状態に戻れた」という感覚が来る。「来月まで頑張る」ではなく、「今週だけ」と区切るだけで、気持ちが楽になる。

「完璧に戻ろうとしない」という発想の転換

対処法4: 「完全回復」を求めない
これが一番大事かもしれない。GW明けの最初の1週間に「連休前と同じパフォーマンス」を求めるのは無理だ。仕事のスピードは7〜8割でいい。ミスが増えても仕方ない。「完璧に戻ろうとしない」という発想の転換が、逆に早い回復につながる。

対処法5: 朝15分だけ外を歩く
朝の散歩は、セロトニンの分泌を促す効果がある。日光を浴びることで体内時計がリセットされ、「仕事モード」への切り替えが助けられる。ジムに行く必要も、ランニングをする必要もない。15分だけ外を歩く。それだけでいい。

わかる。「そんな簡単なことでいいのか」と思うかもしれない。でも五月病の時期は、難しいことができない。だからこそ、極限までハードルを下げた対処法が意味を持つ。

新社会人の五月病は特別に深刻──入社1ヶ月の重なり

新社会人にとって、GW明けは特別に辛い時期だ。

4月1日に入社して、ちょうど1か月が経った頃。最初の1〜2週間は「緊張で何もわからなかった」。3週間目くらいで「少し慣れてきた気がする」。4週間目で「これからずっとこれが続くのか……」という現実が見えてくる。

そこにGWが来る。

学生時代の友人と会って、「楽しそうな仕事してるな」と思ったりする。まだ仕事の成果も出ていないし、職場での居場所もよくわからない。連休が明けたら、また何もわからない状態に戻るわけだ。

新社会人の五月病が深刻なのは、「仕事自体がつらいのか、五月病でつらいのかが区別できない」点だ。ベテランなら「これはいつものGW明けの辛さだ」とわかる。でも初めての経験だと、「自分は社会人に向いていないのか」「この会社は自分に合っていないのか」という方向に考えが向きやすい。

新社会人に伝えたいのは、「今感じている辛さの半分以上は、五月病によるものだ」ということだ。2週間後に判断してほしい。2週間後も同じくらい辛ければ、職場環境や仕事内容の問題かもしれない。でも2週間後に「あれ、意外と普通だな」となる人が多い。

焦らなくていい。本当に。

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Photo by Samuel Field on Unsplash

それでも「行けない」と感じたら──受診の目安

対処法を試しても、それでも「行けない」状態が続く場合は、受診を考えてほしい。

目安は「2週間以上、同じか悪化している」場合だ。この場合、単なる五月病ではなく、適応障害やうつ病に移行している可能性がある。

受診先は「心療内科」または「精神科」だ。「精神科」という言葉に抵抗を感じる人もいるが、現代では風邪で内科に行くのと変わらない感覚で受診できる場所が増えている。初診は予約制のところが多いので、調子が悪いと感じたら早めに予約を入れるだけでも気持ちが楽になる。

「受診するほどじゃないかも」と思っているうちに悪化させてしまう人が多い。「これくらいで病院に行っていいのかな」と迷っている段階で行っていい。そのための医療機関だ。

去年、会社に行けなかった朝の僕に言いたいのは、「もっと早く誰かに話せばよかった」ということだ。一人で抱え込んで、1週間くらいずっと「明日は行けるかもしれない」と思い続けた。話せる人に話すだけで、かなり楽になれた。それが家族でも友人でも、会社の先輩でも、医療機関でもいい。

よくある質問(FAQ)

Q: 五月病はいつまで続くのか?

A: 多くの場合、GW明けから2〜3週間で症状が落ち着く。適切に休養を取り、無理に「完全回復」を目指さなければ、6月初旬には通常のペースに戻れる人がほとんどだ。ただし2週間以上症状が続いたり悪化する場合は、専門機関への相談が望ましい。

Q: GW明けに仕事を休んでも大丈夫か?

A: 体や心の回復のために必要な休養は、決して「サボり」ではない。無理に出社して症状を悪化させるほうが、結果的に長期の休みにつながる可能性が高い。有給休暇を使って1〜2日休むことで、その後の仕事効率が上がることも多い。会社に正直に伝えにくければ「体調不良」で問題ない。

Q: 五月病と適応障害・うつ病はどう違う?

A: 五月病は一過性のストレス反応で、時間と休養で自然に回復することが多い。適応障害やうつ病は専門的な治療が必要な状態で、症状が2週間以上続く・悪化する・日常生活に支障をきたす場合は専門家への受診を検討してほしい。自己判断は難しいので、迷ったら心療内科に相談するのが確実だ。

Q: 新社会人が五月病になった場合、会社に言うべきか?

A: 状況による。信頼できる先輩や上司がいれば、「少し体調がすぐれない」と正直に話すと、思ったより理解を得やすい。言いにくければ、まず家族や友人に話して気持ちを整理するだけでも違う。会社に伝える前に「自分がどの程度しんどいのか」を整理しておくと伝えやすくなる。

Q: 五月病の予防に有効な方法は?

A: GW中に「完全に仕事を忘れる日」と「翌週の準備をする日」をバランスよく設けることが効果的だ。連休最終日に翌日の出社をイメージするだけでも切り替えがしやすくなる。また、4月に頑張りすぎないこと、休める時に休むことも重要な予防策だ。

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